本紙 104.3cm×26.8cm
神雛・紙雛は、もともと神道の禊や祓に用いる紙で出来た人形で、体を撫で息を吹きかけて自身の災いを人形に移して川に流すものであったが、江戸時代以降は三月三日の桃の節句の雛人形へと変化したと伝えられる。ここで描かれた男雛女雛の姿は、京都の日本画家であれば必ずといってよいほど生涯に幾度も描いた主題の一つであるが、これはまた同時に、日本画というものが、その芸術表現にのみ価値があるのではなく、人々の四季の暮らしの節目に必要とされた、いわばお道具としての存在意義を示すものといえよう。雛人形の装束の松竹梅の文様に、金泥で記された「君が代」の歌詞など、慶祝の雰囲気溢れる一幅である。
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